指圧の効果
マッサージには、主に次のような5つの効果があります。
1 興奮作用
病的に機能が減退している神経や筋に対してその興奮性を高め、機能の回復を図る作用をいいます。
2 鎮静作用
病的に機能が亢進している神経や筋に対して、その興奮性を低め機能の鎮静を図る作用をいいます。
3 反射作用
病巣から遠く隔たったところ行うと、中枢神経系を介する反射機転により病的状態にある内臓などの機能の調整を図る作用をいいます。
4 誘導作用
外傷、炎症などにより、発赤、腫脹、疼痛などの症状が著しいときや、脳充血、皮下出血などで直接患部への施術が不可能な場合に、その部位よりも心臓に近い部分に施術し、患部の鬱血や病的浸出物を誘導し吸収させる作用をいいます。
5 矯正作用
関節周囲に癒着などの障害があるとき、癒着を剥離し、短縮した軟部組織を引き伸ばすことによって関節機能を回復させる作用をいいます。
マッサージが体に及ぼす影響は、単なる「気持ち良さ」だけでなく、解剖学・生理学的なメカニズムに基づいています。大きく分けると、神経系へのアプローチと筋肉(および循環系)へのアプローチの2つがあります。
1. 神経系への影響:リラックスと痛みの遮断
神経系に対しては、主に「スイッチの切り替え」と「情報の遮断」という2つの働きをします。
* 自律神経の調整:
皮膚や筋肉への適切な刺激は、副交感神経を有意にします。これにより、心拍数や血圧が下がり、ストレスホルモン(コルチゾール)が減少して、深いリラックス状態に導かれます。
* ゲートコントロール理論:
痛みがある場所をさすると楽になるのは、この理論によるものです。マッサージによる「触圧刺激」は、痛み信号よりも速く脳に伝わるため、脊髄にある「ゲート」を閉じさせ、脳に痛みが伝わるのをブロックします。
* 神経伝達物質の放出:
「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンや、天然の鎮痛剤であるエンドルフィンの分泌が促され、精神的な充足感と痛みの緩和が同時に起こります。
2. 筋肉への影響:柔軟性の回復とポンプ作用
筋肉に対しては、物理的な刺激によって「硬さ」をとり、環境を整える働きをします。
* 筋緊張の緩和:
凝り固まった筋肉(筋線維)を物理的に揉みほぐすことで、過剰な緊張を解きます。また、筋肉を包む「筋膜」の癒着を剥がすことで、筋肉がスムーズに動くスペースを確保します。
* 血液・リンパの循環促進(ポンプ作用):
マッサージは「外部からのポンプ」として働きます。筋肉を圧迫・弛緩させることで、静脈血やリンパ液の流れを促し、溜まっていた老廃物(乳酸など)の排出を助けます。
* 栄養供給の活性化:
血流が良くなることで、新鮮な酸素と栄養が筋肉に届きやすくなり、傷ついた組織の修復(リカバリー)が早まります。
3. 注意点:国家資格の有無が問われる理由
このように、マッサージは神経や血流にダイレクトに影響を与える「侵襲性(体への影響力)」がある行為です。
* 強すぎる刺激のリスク: 神経を傷つけたり、逆に筋肉を防御反応で硬くさせたり(揉み返し)、血栓を飛ばしてしまうリスクもあります。
だからこそ我々あん摩マッサージ指圧師が3、4年かけて解剖学や生理学を学ぶのは、これらのリスクを避け、「どの神経に、どの程度の圧をかけるのが適切か」を医学的に判断するためなのです。
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